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注文住宅客」は一つではない|住宅会社のターゲット設定を条件から考える

「注文住宅を検討している人」を一つの顧客像として、広告やWebサイト、SNS、YouTube企画、商品企画を考えていないでしょうか。実際には、同じ「注文住宅」というカテゴリの中にも、土地をすでに持っている人、土地から探している人、既存住宅の建て替えを検討している人など、条件の異なる顧客が含まれています。

この記事では、公的な調査データから確認できる事実と、そこから住宅会社が顧客セグメントをどう考えられるかを、住宅会社・工務店の経営者やマーケティング担当者に向けて整理します。

「注文住宅客」を一つの顧客像として考えていないか

広告の訴求、Webサイトの構成、SNSやYouTubeの企画、商品企画などを検討する際、「注文住宅を検討している30代・子育て世帯」のように、年齢や家族構成といった属性だけで顧客像を一つに固定してしまうことがあります。

しかし、同じ「注文住宅」を検討している人でも、土地をすでに持っているか、土地から探す必要があるか、今の住まいを建て替えるのかによって、必要な情報や比較検討の進め方、意思決定の順序は変わり得ます。年齢や所得は顧客理解の判断材料の一つですが、それだけでは顧客が実際に置かれている状況までは分かりません。

同じ注文住宅でも住宅取得の条件は一様ではない

「注文住宅」という同じ商品カテゴリの中でも、住宅取得に至る条件は一様ではありません。以下では、公的な調査データから確認できる事実(FACT)を先に示し、そこから住宅会社が実務としてどう考えられるか(INTERPRETATION)を分けて整理します。

注文住宅と土地付注文住宅では利用者の条件に違いがある

住宅金融支援機構が実施する2025年度フラット35利用者調査では、「注文住宅」区分(建設費のみをフラット35で借り入れる区分)と「土地付注文住宅」区分(建設費・土地取得費の両方をフラット35で借り入れる区分)とで、利用者の条件に違いが確認されています。

平均世帯年収は、注文住宅719万円、土地付注文住宅742.2万円でした。総返済負担率は、注文住宅23.0%、土地付注文住宅26.4%でした(いずれも2025年度、全国、フラット35利用者)。

これはフラット35を利用した世帯を対象にした調査であり、住宅ローン利用者全体や注文住宅取得者全体の数値ではありません。また、この2区分は、フラット35の借入対象に土地取得費を含むかどうかで区分されており、資金調達の前提も同一ではありません。「注文住宅」区分だからといって土地取得費が発生していない、あるいは別途土地資金を用意していないとは限らない点にも注意が必要です。

新築と建て替えでは年齢や敷地取得の状況にも違いがある

国土交通省の令和7年度住宅市場動向調査(全国、注文住宅取得世帯)では、新築世帯と建て替え世帯とで、世帯主の平均年齢が大きく異なることが確認されています。新築世帯の平均年齢は41.6歳、建て替え世帯の平均年齢は63.5歳でした。

敷地の取得方法にも違いがあります。新築世帯では「購入した」が68.7%で最多である一方、建て替え世帯では「相続を受けた」が43.7%で最多となっており、敷地を取得した経緯もほぼ対照的な傾向を示しています。

これらは令和7年度・全国の平均値・最多回答であり、個々の分布の広がりまでは示していません。「新築世帯は必ず40代前後」「建て替え世帯は必ず高齢者」と断定できるものではなく、あくまで平均値・最多回答として確認できる事実です。

住宅会社の顧客セグメントは「条件」から考える

ここまでのFACTを整理すると、注文住宅・土地付注文住宅という融資区分では平均世帯年収・総返済負担率に差があり、新築・建て替えという区分では平均年齢・敷地取得の経緯に差がある、という2つの独立した事実が確認できます。

これらの公的データからいえるのは、「注文住宅客」を単一の顧客像として扱うだけでは十分でない可能性がある、ということです。住宅会社が「注文住宅を検討している人」を一つの顧客像として広告やWeb、YouTube企画を設計すると、実際には条件の異なる複数の顧客に同じ情報を届けることになり、伝えるべき情報や順序がずれる可能性があります。

そこで住宅会社の実務では、公的統計の区分をそのまま使うのではなく、顧客が現在置かれている条件を別途確認し、セグメントとして整理することが考えられます。以下は一例です。

  • A. 土地をすでに持ち、新築を検討している
  • B. 土地探しから住宅取得を検討している
  • C. 既存住宅の建て替えを検討している

これは公的統計上の正式な分類ではなく、住宅会社が顧客理解を整理するための実務上の例です。実際の会社・案件によって、より適した区分の仕方があります。

セグメントを検討する際は、次のような視点も合わせて確認すると、顧客理解が深まります。いずれも条件から自動的に決まるものではなく、顧客ごとに確認すべき事項です。

現在の状態

土地を所有しているか、現在の住まいに住み続けているか、賃貸かなど、顧客が今どのような状況にあるか。

実現したいこと

新しい住まいで何を実現したいか。広さ、性能、デザイン、家族構成の変化への対応など。

検討上の障害

資金計画、土地探し、既存住宅の解体や仮住まいの手配など、検討を進める上で確認が必要になる可能性がある事項。

住宅取得条件

土地の有無、建て替えかどうかなど、住宅取得に至る条件。

検討段階

情報収集を始めたばかりか、具体的な比較検討に入っているか、土地や住まいの目処が立っているかなど。

セグメントをWeb・広告・動画・営業へどう活かすか

セグメントを整理する目的は、顧客にラベルを付けることではなく、顧客ごとに何を確認し、何を伝えるべきかを整理することです。

Web:条件ごとに必要な情報へたどり着きやすい構造にします。すべての条件に対応した専用ページを新設する必要はなく、既存のページ構成の中で、検討条件に応じた情報へ案内できれば十分です。

広告:誰に何を伝える広告なのかを明確にします。土地探しから始める層と、すでに土地を持っている層とでは、関心を持ちやすい切り口が異なる可能性があります。

YouTube:検討条件ごとに知りたいテーマを整理して企画します。土地探しのポイント、建て替え時の仮住まいの考え方など、条件によって異なる関心事に応える企画が考えられます。YouTube運用そのものの考え方については、「工務店のYouTube集客活用ガイド」で詳しく解説しています。

施工事例:完成した空間の見た目だけでなく、その施主がどのような条件・課題を抱え、どう判断したのかまで整理して紹介すると、同じ条件にある見込み客にとって参考になりやすくなります。

問い合わせ・営業:年齢や家族構成だけでなく、現在の状況、検討条件、困っていることを確認すると、その後の案内や提案で何を確認すべきか整理する材料になります。

細かく分けすぎればよいわけではない

セグメントは細かく分けるほどよいわけではありません。条件を細分化しすぎると、コンテンツ制作や営業対応が煩雑になり、かえって運用が続かなくなります。まずは自社が扱う顧客の中で、条件による違いが大きいものから区切り、運用しながら必要に応じて見直す方が現実的です。

自社のターゲット設定を確認するチェック項目

  • 「注文住宅客」を一つの顧客像として扱っていないか
  • 土地あり・土地なし・建て替え等の条件を確認しているか
  • 年齢や家族構成だけで顧客像を決めていないか
  • 顧客が現在どの段階にいるか把握できているか
  • セグメントごとに必要な情報の違いを整理しているか
  • Webや動画で必要な情報へ案内できているか
  • セグメントを細かくしすぎて運用不能になっていないか

顧客セグメントは商品名ではなく「置かれている条件」を見る

「注文住宅客」という商品カテゴリの呼び方だけで顧客を捉えると、実際には条件の異なる複数の顧客に同じ情報を届けることになりかねません。公的統計からも、同じ注文住宅関連の区分の中で、資金条件・年齢・敷地取得の経緯に違いがあることが確認できます。住宅会社が顧客セグメントを設計する際は、商品カテゴリだけでなく、顧客が現在置かれている条件から考えることが実務的です。

住宅会社の顧客セグメントでよくある質問

セグメントは何個くらいに分ければよいか

決まった数の基準はありません。まずは自社の顧客の中で、条件による違いが大きいものから区切り、運用しながら見直していく方法が現実的です。

年齢や家族構成でターゲットを決めてはいけないのか

年齢や家族構成は判断材料の一つとして使えますが、それだけで顧客像を決めることはおすすめできません。現在の状態や検討条件まで含めて確認すると、必要な情報や訴求を検討する際の判断材料が増えます。

セグメントごとに別のWebサイトを作る必要があるか

必ずしも必要ありません。既存のWebサイトの中で、条件ごとに必要な情報へ案内できる構造を作ることから始められます。

セグメント設計にはどのようなデータが必要か

公的統計だけでなく、実際の問い合わせや商談で確認している顧客の状況・条件を整理することが基本になります。公的統計は、自社の顧客理解を補う参考情報として活用します。

住宅会社のマーケティングを整理したい方へ

自社の顧客を年齢や家族構成といった属性だけでなく、住宅取得条件や検討段階まで含めて整理し、Web・広告・動画・営業へ一貫して反映することが重要です。ARCでは、住宅会社の顧客セグメント整理から、Web・動画・広告への反映まで、MARKETING領域の取り組みとして伴走しています。自社の顧客像を見直したいという段階からでも、お気軽にご相談ください。

小さな工務店集客の専門家

小さな工務店集客の専門家

株式会社TSUMIKI 代表取締役:大阪の小さな工務店専門の集客・ブランディングデザイナー。20歳の時に独学でデザインの世界に入り、建設業界大手の販促広告の携わる。30歳で独立し、200社を超える全国の小さな会社の集客支援・ブランディングを実施。YouTube総登録者数1万1千人超え。1年でリノベ会社の集客率を3件/月→30件/月に向上。 詳細なプロフィールはこちら↓ https://arc.bd-tsumiki.com/company/

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