今回は、パンフレット・ECサイト・広告バナーといった集客に直結する住宅・建築写真を、私が現場で実践している撮り方と機材セッティングを交えて解説します[1]。賃貸サイトにありがちな“とりあえず撮った”写真ではなく、丁寧かつプロフェッショナルに仕上げたい方に向けた内容です。
撮影の流れと順序
住宅撮影は「効率」と「撮り漏れゼロ」が命。あらかじめ順序を決めて進めるだけで、仕上がりの質とスピードが跳ね上がります。
- 私は玄関からスタートするのが鉄板です。
- そのまま玄関近くのトイレ → バスルーム → 寝室 → 子供部屋と、水回りと各部屋を時計回りに巡回。
- 端から端へ“統一ルート”で回れば、1LDKでも4LDKでも撮り忘れなし。
使用機材と設定
部屋を広く・歪みなく見せるには機材選びが9割。
- ボディはCanon R5やSony α7シリーズなどフルサイズ機が無難。
- レンズは12–24 mm 広角ズームが鉄板。35 mmや50 mmだと部屋が狭く写りがち。
- 極端な超広角は歪みが強くなるので、12 mm前後が“広さと自然さ”のバランス◎。
私の定番カメラ設定は次のとおり。
- F値:F4を基準(被写界深度とシャープさのバランスが良好)。
- ISO:800〜1600。曇天なら1600、晴天なら800目安。高感度に強い機種なら2000までOK。
- シャッタースピード:1/45〜1/50 秒より遅くしない。手ブレを防ぎ、編集耐性もアップ。
撮影時の重要なポイントとテクニック
ここからは“写真が一気にプロっぽくなる”実践テクを紹介します。
光の扱い
- 自然光+室内照明のミックスが基本。
- ストロボは基本使わず、暗ければISOで補正。自然な雰囲気を優先します。
- 撮影は午前スタート → 14〜15時終了が理想。柔らかな光で色味が安定。
基本的なアングルと構図
- 各部屋の四隅から撮り、全体を把握できるカットを量産。
- カメラ位置は床〜天井の真ん中よりやや低めで統一。
- 見上げ・見下ろしはNG。水平・垂直を徹底し、内蔵水準器で常時チェック。
余計なものを入れない
- 鏡に自分が映り込む、手すりが邪魔――全部カット。“必要な要素だけ”を残す。
- 壁をフレームアウトすると、部屋がグッと広く見える場合も多い。
縦位置と横位置の使い分け
- 基本は横位置(ランドスケープ)。
- 玄関・トイレ・廊下など縦長空間は縦位置(ポートレート)で対応。
場所ごとの撮影ポイント
- キッチンは“使う人の導線”が伝わる角度を最優先。
- バスルームは浴槽を中心に清潔感重視で。
- トイレも四隅撮りで全体を押さえる。
撮影の準備と段取り
- 必要カット数は案件ごとに異なるので事前ヒアリングが必須。
- 1LDK〜3LDKなら撮影時間は1〜1.5時間が目安。
- リノベ物件は家具込みで生活感を演出、新築は空間そのものの美しさを強調――物件の状態に合わせて戦略を変える。
編集と納品
- 撮影段階で水平・垂直・不要物カット“ほぼ完結”を目指す。
- 編集は歪み補正・明るさ調整・微トリミングが中心。大工事は避ける。
住宅撮影の仕事について
- 最難関は垂直・水平の精度。自宅で練習→現場で実戦が上達の近道。
- 住宅は永遠になくならない資産。撮影ニーズは安定かつ継続。
- 慣れれば年間数十〜数百件も夢じゃない、スケールする仕事です。
以上が、私が現場で培った住宅・建築写真の撮影ノウハウです。ぜひ参考にして、ワンランク上の写真を撮ってみてください。
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